落語

7/23 談笑独演会@横浜にぎわい座

前座さんなしで《居酒屋(改)》《猿の夢》。お仲入り後《子別れ》。枕に、震災時どこにいたかという噺。談笑師匠は上野動物園のカンガルーとペンギンの檻の間に居たそうで、動物たちの真似がなんともほのぼのと可愛かった。念願の「イラサリマケー」は動画で観るよりよほど面白く、お蔵入りの噂を聞いた《猿の夢》が聴けて満足。シュールな設定と小ネタがいちいちきちんと面白かったけれど、インパクトのある噺なので確かになんだか演るのは難しいかもしれない、と観ていても感じた。面白いのだけれど、客席で少し取り残されるような違和感がある。落語というより、現代演劇を観ている感じがするからかもしれない。それにしても、《子別れ》! 先月、草月ホールの二人会のときもトリが《子別れ》で、師匠の解釈や表情やネタは面白いのに、人情噺としての側面が中途半端で物足りなかったなあ、とえらそうにぼやいたりした覚えがあるため、始まってすぐ「おっ」と前回を思い出しながら聴く。そうしたらば、台詞もオチもぴったし同じなのに、なにこれ!と驚愕するほど、物凄く良かった。人情噺としての呼吸、というか間合いと、師匠の得意の笑いのツボとそうでない部分のメリハリが良かったからではなかろうか、と推測。亀ちゃんが犬をけしかけられていじめられたことを親方に報告する台詞の間の取り方と情感の込め方が絶妙で、どうしようもなく涙腺が弛む。とはいえ、その前後には子供らしからぬこまっしゃくれた感じの台詞を唐突にではなく挿れていて、師匠の持ち味をきっちり活かして、もう、やられました、という感じ。あまりにも良かったので、はじめてアンケートに感想なども拙く書き送ってしまう。談春師匠と喬太郎師匠と共に、これからも生で聴いていきたい落語家さんだなあと感じ入った。

Tさん、素晴らしいお誕生祝いをありがとうございました!